その特徴的なフレームデザインから、BESVを代表する存在であるPSシリーズ。その中でもPS1とPSA1はよく比較される存在でもあります。
今回はそんな2モデルにスポットを当て、どこが違うのか、逆にどこが共通しているのか、それぞれのe-bikeとしての立ち位置や特性、オススメの用途まで『SPEC編』、『実走編』の2回に分けてモトベロ名古屋星が丘のスタッフが比較レビューしていきます。
Contents
【SPEC編】『PS1』×『PSA1』BESVの看板車種を徹底比較!
BESV PSシリーズとは
トップモデルのPS1、スタンダードモデルのPSA1、そして折り畳みモデルのPSF1からなる、BESVが誇るe-bikeシリーズ。
BESVが誇る高性能バッテリーやモーター、アシスト構成は全モデル共通で、それぞれに個性はありつつも根底に流れる近未来的なシルエットが一つのシリーズであることを感じさせます。
そんな中でも、トップモデルのPS1とスタンダードモデルのPSA1は常に比較され続ける関係性です。
SPEC
比較ポイント
20インチの小径ホイールにコンパクトなシルエット、リアハブモーター、前後にサスペンション搭載、前後にディスクブレーキ、フロントギアはシングル、専用オプションはライト、フェンダー、リアキャリアという基本的な構成は同じです。
加えて、上の表にもある通りバッテリーやモーター、アシストモードの構成も共通します。
フレームの材質・デザイン
PS1とPSA1の最も大きな違いがフレームの材質とそのデザインです。
全体的なシルエットは似ている両者ですが、改めて見てみるとまた違った個性を持っていることが分かります。
PS1のフレームはカーボン製で、その素材を活かし下面が流麗なアーチを描いているのが特徴。
e-bike全体で見てもカーボンフレームは一部メーカーの上位モデルがほとんどで、更にミニベロともなればPS1は希少な存在です。
一方のPSA1はアルミ製、下面は直線的でシャープなデザインをしています。アルミフレームながら溶接痕がほとんど目立たず、ぱっと見ではそれと分からないくらい洗練されたフォルムです。
自転車で「アルミとカーボン」というと振動吸収性の差を言及されることが多いですが、PSA1は前後にサスペンションを備えているため車両そのものの振動吸収性は十分に高く、この点においては大きな差はないと思っていいでしょう。
顕著な違いが出るのは後述の重量差と、そこから派生する諸々の要素が大きいです。
重量
2kg以上の違いと、数値ではっきりと差が出る部分。車両を持ち上げても違いが実感できるくらいの重量差です。
特にPS1の17.4kgはe-bike全体で見ても比較的軽量な部類に入ります。この重量差のおかげで、実際に走った際の速度感はPS1の方が軽やかに感じます。
また、バッテリー、モーターは共通ですが、この重量差故に走行可能距離にやや差が出てきます。
とはいえPSA1もe-bikeとしては重量、走行可能距離共に標準以上のスペックを持っており、この部分に関してはどちらもレベルが高いといえます。
リアディレイラー
大きな違いの2つ目がリアディレイラーです。特に普段からスポーツ自転車に乗られている方が違いを感じやすい部分の1つです。
PS1のリアディレイラーはShimano Tiagraの10段変速。
ロードバイク系変速機のミドルグレード入門のような位置づけで、競技志向ではないクロスバイク等においては高級機材です。
街乗りからサイクリングまで幅広くカバーするクロスバイクに近い性格を持つPS1としては、かなりグレードが高いと言えます。
一方のPSA1はShimano Altusの7段変速、マウンテンバイク系の下から2つ目となるエントリーグレードです。
エントリーグレードとはいえマウンテンバイク系由来の高い耐久性を備え、多くのスポーツバイクメーカーのクロスバイクで採用されているパーツでもあります。
変速段数が多い方が速度や状況に合わせより細かくギアを調整できるので、スポーツ自転車に乗り慣れている方、ギア間の落差が気になる方はPS1がオススメ。
また最も軽いギアは同じ歯数ですが、最も重いギアはPS1の方が歯数一つ分小さく、より最高速度を出しやすくなっています。
とはいえギア間の落差があまり気にならない街乗り用途や、初めてスポーティなe-bikeに乗る方にとってはPSA1も十分な性能を持っています。
タイヤ
PS1のタイヤはシュワルベのビッグアップル。カスタムでチョイスする方もいる軽い転がりと高い耐久性を備えた高品質タイヤです。
PSA1のタイヤはCSTのC1854。走行性だけでなく交換修理などで触れている印象としては、可もなく不可もない標準的なタイヤといった印象です。
タイヤに関してもやはりPS1の方が1ランク上等といったところですが、タイヤ自体が消耗品であり、後々交換する際に上等なものに交換するのもおススメです。
タイヤについてカスタマイズで交換する方も多く、自分好みに変更しやすいことを考えれば、比較材料として大きく捉えなくて良い部分かもしれません。
ブレーキ
大きな違い3つ目はブレーキです。ブレーキは最も多くの人が違いを体感できる部分です。
どちらも同じディスクブレーキで、従来の車輪を挟むリムブレーキと比べて高い制動力を誇り、悪天候や悪条件でも制動力が落ちづらい利点があります。PS1とPSA1はこのブレーキの動作方式の部分に違いがあります。
PS1のブレーキはTEKTRO製の油圧式ディスクブレーキ。
油圧式は大まかに言えばバイクや自動車等と同じ動作方式で、ホース内を通っているオイルによって動作します。
軽い力で高い制動力が得られるので、握力が不安な方や手が小さい方にオススメ。
また、繊細なコントロールが可能かつ長時間ブレーキをかけ続けても疲れづらいので、長距離サイクリングにも適しています。
PSA1のブレーキはPROMAXの機械式ディスクブレーキ。
従来のリムブレーキと同様ワイヤーを引っ張ることで動作するタイプで、ブレーキを握った際の感触も似ています。
油圧式と比べて引きが重く、同じ力で握った際の制動力は一段劣りますが、用途や速度域を考えれば十分な性能です。
ブレーキの性能に関しては、はっきりとPS1に軍配が上がります。
e-bike、特にスポーツ的傾向が強い車種は大多数がディスクブレーキを採用しており、PSシリーズもこの潮流に乗っています。
上位モデルを中心に油圧の割合も増している傾向にあり、PSA1はスタンダード、PS1は上位モデルという位置づけがそのまま当てはまる格好です。
サスペンション
PS1、PSA1共に前後にサスペンションを備え、非常に快適な乗り心地を実現しています。
前後ともに両車種で違うものが使われていますが、リアサスペンションに関して言えば体感上違いは大きくありません。一方、フロントサスペンションは体感できるレベルの違いがあります。
PS1のフロントサスペンションはSpinner GRIND 20 50Travel。コイル式のサスペンションで、バネのコシが強く、PSA1と比べるとかっちりとした乗り心地です。
一方のPSA1はRST CAPA 20 50Travel。同じくコイル式ですが、PS1と比較するとだいぶ柔らかく、特にブレーキをかけた際には顕著にフロントが沈み込む感覚があります。やや柔らかすぎる印象もありますが、加速性を求めないのであれば乗り心地は快適です。
当然ながらPS1の方がグレードが高く、乗り味もカチッとしていて上質な印象ですが、PSA1の快適性も捨てがたいところ。
この辺りの乗り心地は好みが分かれるところかもしれません。また、力のロスを抑えてスピードを出したい場合には、どちらもサスペンションをロックするという手段があります。
まとめ
上記の通り、軽さやギア、ブレーキなど、走行性能を司る部分にはやはりの違いが見られました。
では実際に乗った際に、果たしてその違いがどう影響するのか、体感できるほどの違いがあるのか。次回「実走編」ではその辺りを深く掘り下げて参りますので、どうぞご期待ください。
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